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ディスク環境まるごとアップグレード

 ハードディスクの交換

  
 ディスク環境まるごとアップグレード

 1.ファイル・コピーじゃ引っ越せない
   ディスク環境まるごとアップグレード

 足りなくなった空き容量を増やす場合、新しいハードディスクを利用するには2種類の方法が考えられる。1つは、単純に新しいハードディスクを増設(追加)して、これまで使ってきたハードディスクとの2台構成で運用するという方法だ。これだと、新ハードディスクの全容量を空き領域として扱える半面、ドライブが増えることで各ファイルの配置方法など管理の仕方が変わってしまう。その結果、同種のデータが新旧2台のハードディスクに分散してファイルが見つけにくくなったり、新しいハードディスクへのファイル移動など、ディスクの整理を強いられたりする。「増設」という方法は一見単純な解決法に見えるが、その後に面倒が待ち受けていることを考慮したい。

 

 もう1つの方法であるハードディスクの置き換え(換装)だ。つまり、古いハードディスクの内容をそのまま新しいハードディスクへコピーしてから、古いハードディスクは取り外し、以後は新しいハードディスクだけで運用する。このメリットは、苦労しながら古いハードディスクに構築してきたソフトウェア環境を、新しいハードディスクの導入後もそのまま維持できる点だ。また、新しくて高速なハードディスクに、アプリケーションやOSを構成するプログラムが格納されるため、OSやアプリケーションの起動時間が短縮されるという効果も期待できる(もちろん、これは新旧ハードディスクの性能差による)。デメリットは古いハードディスクを取り外す分だけ、増設の場合より空き容量が少なくなってしまうことだ。とはいえ、古いハードディスクをバックアップなど別の用途に使い回せるので、まったく無駄になるわけではない。

OSに付属のツールを使いこなせば、上述のような情報をコピーするのも不可能ではないようだ。例えばWindows 2000に付属するバックアップ・ツールは、レジストリ・データベースのバックアップ機能を備える。またハードディスクの管理領域を再生するツールも、Windows 2000には付属する。しかし、こうしたツールの使いこなしは簡単ではなく、作業にも高度な知識が要求される。そう手軽な方法ではないことは確かだ。

 

 

2.新しいハードディスクをセットアップする

ハードディスクの交換作業は、古いものと取り替える新しいハードディスクを入手することから始まる。そして、実際のコピー作業の前に、PCに取り付けてケーブルをつなぎ、BIOSに認識させる、といったハードウェアのセットアップが必要だ。この段階でトラブルに遭遇する危険性は、DriveCopyなどのツールの使用中よりもはるかに高いので、より注意して作業を進める必要がある。

コンピュータシステムのハードウェアを制御するための基本ソフトウェア。

 BIOSのソフトウェアは、EPROMやフラッシュメモリなどに書き込まれて、システムの基板上に実装される。このためOSなどがなくても、電源投入と同時に実行でき、電源投入時のハードウェア診断や各デバイスの初期化などを行う機能を持つ。

 このほかにもBIOSには、ハードディスクやキーボード、グラフィックスなど、標準的なデバイスを制御するプログラムコードが組み込まれており、上位のソフトウェア(OSなど)はこのサービスコードを経由してハードウェアにアクセスすることができる。

 また最近では、環境破壊などの観点から、コンピュータの省電力機能が注目されている。一定時間アクセスがなければ、CPUのクロックを下げる、ディスクの回転を停止するなど、最近のBIOSでは、省電力機能を実現(サポート)するためのプログラムも組み込まれている。

 このようにBIOSのはたらきにより、上位ソフトウェアはハードウェアの微細な仕様を意識することなく制御できるようになるが、一方ではBIOSベンダやBIOSバージョンの微妙な違いから、非互換性問題が生じることもある。

 Windows NTなど、ハードウェアシステムをOS側で完全に制御するものは、BIOSコードには頼らず、すべてを自分自身で処理するようになっている。

 
 

3. 幸いなことに、上述のような複雑な作業を請け負ってくれるハードディスク・コピー用ユーティリティがいくつか存在する。代表的な製品としては、アーク情報システムの「HD革命/BackUp」やネットジャパンの「Drive Image/DriveCopy」そしてソフトボートから2001年に発売の「DriveWorks」などが挙げられる。このうち、本稿の目的である2台のハードディスク間のコピーにのみ目的を絞れば、ネットジャパンの「DriveCopy」という製品が安価だ。今回は、このDriveCopyを実際に使用してみる。ほかのユーティリティでも、手順は似ているので参考になる。

DriveCopy 3.0 
*1 Windows 2000のダイナミック・ディスクには対応していない

DriveCopyは、同じネットジャパンの「Drive Image」の機能限定版で、コピー元のハードディスク上の1パーティションもしくは全容量を、コピー対象先のハードディスクの全領域に拡大してコピーする機能のみをサポートしている。例えば、コピー元のハードディスクに2つパーティションが存在する場合、その比率を維持したまま拡大して対象先のハードディスクにコピーするか、あるいはどちらかのパーティションを選択したうえで、コピー対象先のドライブ全体にそのパーティションを拡大して展開することしかできない。その代わり、価格は6000円(バージョン3.0)と、同種の製品に対して安価に抑えられている(これに対し上位版のDrive Imageでは、DriveCopyの機能に加え、パーティションの内容をイメージ・ファイルとしてバックアップしたり、コピー先のパーティションのサイズをより自由に変更したりできる。価格はバージョン4で1万5800円)。 
DriveCopyは、ファイル単位ではなく、ハードディスク上の最小記録単位であるセクタ単位でコピーを行う。全セクタのコピーに対応しているのはもちろんだが、有効なファイルで消費されているセクタのみを選別してコピーする、SmartSector機能を備えているため、コピーに必要な時間を最低限に抑えることができる。SmartSector機能は、FAT16、FAT32に加え、Windows NT/2000のNTFS、そしてLinuxのext2など、広く普及しているほとんどのファイル・システムに対応している。

4.
4.3Gから30Gへ増量する

 それでは、DriveCopyによるハードディスクの引っ越しを実際に行いながら、手順を紹介しよう。ここで、DriveCopyによるコピーを試したPCのハードディスクについて記しておく。もともとPCに搭載されていたのは4.3Gbytesのハードディスクで、これを30Gbytesの新しいものに交換する(それぞれのハードディスクについては、下記の写真参照)。

コピー元の古いハードディスク  試用したコピー先の新しいハードディスク 
こちらは、もともと装着されていた4.3GbytesのIDEハードディスク、Seagate Technology製ST34321A(Medalist4321)。回転速度は5400rpm。1998年末〜1999年にかけて広く利用された。この容量では、最近のOSとアプリケーションを少し詰め込むだけで、すぐ満杯になってしまう。 これは、日本電気(NEC)製DTLA-307030という30GbytesのIDEハードディスクだ
(IBMのDeskstar 75GXPシリーズのセカンド・ソースとして製造された製品)。
回転速度は7200rpmで性能重視タイプといえる。

 もともとのハードディスク(Medalist4321)では、全容量4.3Gbytesが1パーティションで占められており、そこにOS(Windows 2000 Professional)を始め各種アプリケーションがインストールされている。NTFSだ。下図のように、空き容量は全容量の15%(645Mbytes)しかなく、例えばCD-Rの書き込みイメージなど大きめのファイルを保存しようとすると、不要ファイルの削除や圧縮を強いられる状態だ。このディスクの内容を、新しい30Gbytesのハードディスクにコピーできれば、ファイル整理の頻度を下げられるし、新しいアプリケーションをインストールする余裕も生まれる。

DriveCopyでコピーする新旧ハードディスクのパーティション構成
ここでは、元のハードディスクにある単一のパーティション(=起動パーティション)を拡大しながら、新しいハードディスクにコピーする。つまり、コピー先でもパーティションは1つになる。このコピーにより、空き容量は約650Mbytesから約27Gbytesに拡大できる。

 それでは、次ページから、実際にハードディスクをコピーするための具体的な作業手順を説明しよう。

 

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新旧ハードディスクの接続方法を決める

 DriveCopyのコピー機能は、コピー元ハードディスクと、コピー先ハードディスクが両方とも、同じPCに接続されている状態で動作する。そのため、一時的にではあるが、何らかの形で2台のハードディスクを同時にPCに取り付ける必要がある。

 IDE対応のデバイス(ハードディスクばかりではなく、CD-ROMドライブやCD-R/RWドライブなどがある)とPCとは、専用のフラット・ケーブルで接続する。1本のフラット・ケーブルには2台までデバイスを接続できる。1台目のデバイスはマスタ、2台目のデバイスはスレーブと呼ばれる。IDEデバイスを接続するときは、そのデバイスがマスタか、スレーブかを指定しなければならない(

 IDEケーブルは、マザーボート上の40ピンの専用コネクタに接続する。このコネクタは一般に2つ用意されていて、それぞれプライマリIDEポート、セカンダリIDEポートと呼ばれる。この制限により、ほとんどのデスクトップPCでは、接続可能なIDE対応デバイスの総台数は4台までとなっている。

各IDEデバイスとPCとの接続
多くのPCでは、この図のようにハードディスクとCD-ROMドライブが1台ずつ、別々のIDEケーブルで接続されている。この場合、新しいハードディスクは、元のハードディスクがつながっている方のIDEケーブルに接続する。このとき、マスタ/スレーブの設定に注意する必要がある。

 本稿では、上図のように元のハードディスクをスレーブ、新しいハードディスクをマスタとして同じケーブルに接続している。このようにすると、コピーが終わった段階で元のハードディスクを取り外すだけで、新しいハードディスクから起動できるようになるし、作業に直接関係ないCD-ROMドライブなどに触れずにすむ。実際どのような配線となるかは、以下の写真を参照していただきたい。なお、DriveCopy 3.0自体は、上記のマスタ/スレーブの設定を逆にしてもコピーできるし、IDE←→SCSIという異なるインターフェイス間のコピーにも対応している。

新旧ハードディスク2台をドライブ・ベイに取り付けた様子 
写真は分かりやすくするため、電源ケーブルをはじめ、視覚上の障害物となるデバイスを取り外した状態で撮影している。
  IDEケーブル
これは80芯ケーブルだ。このケーブルの場合、マスタはケーブルの端のコネクタに、またスレーブは中間部のコネクタに接続するよう規格で定められている。
  コピー先の新しいハードディスク
マスタに設定している。
  コピー元の古いハードディスク
もともとの起動ドライブであり、マスタとして設定されていた。新しいハードディスクをマスタとして接続するため、ここではスレーブに変更して接続している。

 上の写真では、内部に余裕のあるケースを用いているため、3.5インチ幅のドライブ・ベイはハードディスクを2台取り付けてもまだ余裕があるが、実際にはハードディスクを2台同時に取り付けるスペースのないPCも多い。その場合は、サポート外の方法であることは承知のうえで、段ボール箱などで台を作り、その上にハードディスクを置いて作業を行ってもよいだろう。ハードディスクは稼働中の衝撃には極めて弱いため、安定した足場の確保には特に注意する必要がある(もちろんコピー作業中にディスクを移動させてはいけない)。

 また、ドライブ・ベイの空きがあっても、IDEケーブルが短かすぎて2台のハードディスクを1本のケーブルにまとめられない場合もある。そんなときは、セカンダリIDEポートに接続されているCD-ROMドライブをいったん取り外し、コピー元のハードディスクをセカンダリIDEポートのマスタとして接続してもよい。これでもDriveCopyによるコピーは可能だ。

IDEのマスタ/スレーブを設定する

 IDEデバイスをマスタ・デバイスとして動作させるか、スレーブ・デバイスとして動作させるかは、IDEデバイス上のジャンパ・ピンの組み合わせによって指定する。IDEデバイスは、そのメーカーごとか、あるいは製品ごとにジャンパ・ピンの組み合わせの意味が異なるため、設定にはジャンパ・ピンの構成表を各メーカーから入手しなければならない。化粧箱に収められて市販されているIDEハードディスクならば、設定表が付属している場合が多いし、パッケージとは別にPCショップから提供されることもある。購入時には必ず確認したい。自分で探さなければならない場合は、各メーカーのホームページに掲載されている情報(ほとんどが英文となる)か、あるいはハードディスク上のラベルに印刷された簡易な設定表(以下の写真)に頼ることになる。

ジャンパ設定表の例(DLTA-307030) 

  ジャンパ・ピン
このピンのショート(短絡)/オープン(開放)の組み合わせで、マスタ/スレーブを含むIDEハードディスクの動作モードを設定する。
  ジャンパの設定表
赤く塗りつぶされている部分がショートで、白く抜けている部分がオープンを表している。また、「DEVICE 0」や「MASTER」がマスタを、また「DEVICE 1」や「SLAVE」がスレーブを意味する。

 

ジャンパ設定表の例 
左はSeagate Technology製IDEハードディスク、右はSamsung Electronics製IDEハードディスクのものだ。いずれも、設定表はハードディスク上面に張られているラベルに記載されていた。

 ところでジャンパの設定表には、マスタ/スレーブとは別に「CABLE SELECT」や「CSEL」、「CS」などという設定が表示されていることがある。これはケーブル・セレクトという機能のことで、ケーブル上のどのコネクタに接続するかで、そのIDEハードディスクがマスタとスレーブのどちらのモードで動作するのかを決定できる。いちいちディスクごとにマスタ/スレーブを設定する必要がないので、簡便であるし、設定の衝突などのトラブルを避けることができる。だが筆者の経験では、ハードディスクを2台以上組み込む場合は、ケーブル・セレクトではなく、マスタとスレーブを明示的にジャンパで指定した方が確実かつ安全だ(過去に、複数のハードディスクやPCにて、ケーブル・セレクトが正しく動作しないことがあった)。

 なお、ジャンパ・ピンに差すジャンパ・プロックは小さな部品なので紛失しやすいが、PCショップで同等品を販売しているので、それほど心配することはない。ハードディスク購入時に、あらかじめ予備を購入しておいてもいいだろう。

新しいハードディスクをBIOSに認識させる

 マスタ/スレーブの設定やケーブルの接続などがすんだら、次はPCを起動して、BIOSに正しくIDEハードディスクが認識されているかどうかを確認する必要がある。今回対象としている1〜2年前のPCなら、手動設定せずともBIOSが自動的にハードディスクの追加を認識するはずだ。BIOSが認識・管理しているハードディスクの一覧は、PCの起動時に表示されるので、確認しよう。ここで表示されないIDEハードディスクは、DriveCopyから操作することはできない。接続先(プライマリかセカンダリか、マスタかスレーブか)や容量などが正しいかどうかを確認しておこう。

 もし認識されない場合は、ケーブルの誤接続やジャンパの誤設定などのミス以外に、何かハードウェア・トラブルが生じていることも考えられる。これについては、以下のコラムを参照していただきたい。

最新のIDEハードディスクを使用する場合の注意点

 
ハードディスクに限ったことではないが、一般的にPC本体と追加パーツの間で世代が大きく異なると、トラブルが発生しやすい傾向がある。ここでは、最新のIDEハードディスクを、やや古めのPCに組み込んで使用する際に生じやすいトラブルと、その解消方法を解説しよう。

■PCがハードディスクを認識しないときは、まずBIOSを疑う
 
大容量のハードディスクを接続した場合、PCがハードディスクを検出しなかったり、実際より小さな容量しか認識されなかったりすることがある。このときハードディスクの故障を疑う前に、まずそのPCに認識可能なハードディスクの容量に制限がないかどうか調べてほしい。これは、PCのディスクBIOSにある設計上の欠陥で生じる問題だ。有名なのは、8.4Gbytes以上のハードディスクを認識できないという障害だ(古い仕様のBIOSは、大容量のディスクに対応していない)。この問題については、最近では、32Gbytes以上のハードディスクを認識できないという障害が報告されているが、こちらも8.4Gbytesの場合と同様に対処可能だ。

■IDEハードディスクが遅い動作モードに設定される
 
古いIDEコントローラと最新のIDEハードディスクが接続された場合、通常はIDEコントローラ側でサポートする最速の転送モードが選ばれるはずだ。しかし、現実にはBIOSやOSの問題により、正しく転送モードを設定できない場合がある。

 Windows 2000の場合、標準のIDEドライバは最速モード(Ultra DMA mode 5)に対応していない。そのため、ハードディスクおよびPC本体がUltra DMA mode 5に対応していても、Windows 2000では低速でCPU占有率の高いPIOモードで動作してしまうことがある。

 こうした問題の解決法は、PCベンダが提供するデバイス・ドライバをインストールする、ディスクBIOSをアップデートする、最新のIDEホスト・コントローラ・カードを購入するなどいくつかあるが、最も確実なのは、IDEハードディスクの動作モードを強制的に変更してしまう方法だ。

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